活動レポート

活動レポート

2024.01.09

URCFシンポジウム2023の開催報告

 2023年8月30日、「URCFシンポジウム2023」を超臨場感コミュニケーション産学官フォーラム(URCF)・情報通信研究機構(NICT)共催、総務省後援、けいはんな情報通信オープンラボ研究推進協議会協賛で開催いたしました。
 今回のシンポジウムでは、「XR×生成AIが切り拓く新たな地平:未来社会の創造と変革」をテーマに、基調講演、特別講演2件、パネルディスカッションをハイブリッド形式で実施しました。リアル会場での開催は4年振りでしたが、オンラインでは実施が困難であった超臨場感技術の体験デモも展示会場で実施することができ、参加者間の交流や意見交換も対面で行うことができました。
1.開催日時 2023年8月30日(水)13:00~17:30
2.開催方式 ハイブリッド形式
       ・リアル会場: 日本科学未来館7階未来館ホール(東京都江東区青梅)
       ・オンライン配信:Zoomウェビナー
3.全体テーマ「XR×生成AIが切り拓く新たな地平:未来社会の創造と変革」
XR(extended reality)は、実空間をサイバー空間に拡張することにより人々に新たな体験と共感をもたらすテクノロジーであり、XRを活用した様々な事業が生まれつつあります。一方、生成AIは現在、急速な発展を遂げており、言語生成のみならず画像生成の分野でも多大な社会的インパクトを与えてきています。本シンポジウムでは、XR事業の展開事例やメタバース・生成AIの最新動向について理解を深めるとともに、XR×生成AIが切り拓く未来社会の姿を展望しました。
4.参加者 148名(URCF会員および一般:現地70名、オンライン78名)
5.講演資料 講演の一部資料(PDF)はこちらからダウンロードいただけます。
6.概要
(1)シンポジウムの冒頭、廣瀬 通孝氏(URCF会長/東京大学名誉教授)より主催者挨拶、豊嶋 基暢氏(総務省 国際戦略局 審議官)より来賓挨拶を頂きました。


主催者挨拶:廣瀬 通孝氏
(URCF会長/東京大学名誉教授)

来賓挨拶:豊嶋 基暢氏
(総務省 国際戦略局 審議官)

 

(2)基調講演では、岩村 幹生氏(NTTコノキュー 取締役)より「XRが切り拓くフロンティアとコミュニケーションの世界」と題するご講演を頂きました。同社はXR事業を行う企業として2022年6月に設立され、メタバース、デジタルツイン、XRデバイスの事業を展開してきています。本講演では同社の取組みを紹介いただき、我が国が直面する種々の課題に対する提言もお伺いすることができました。


基調講演:岩村 幹生氏
(株式会社NTTコノキュー 取締役)

 

(3)特別講演1では、山野 哲也氏(総務省 情報流通行政局 参事官)より「Web3時代に向けたメタバース等の利活用について」と題して、同テーマの研究会報告書(総務省)の概要を中心にメタバース等を取り巻く状況/特徴/課題についてご講演いただきました。国際標準化・ガイドライン策定等に向け産学官が連携して取組んでいくことが重要とのご指摘でした。特別講演2では、梶谷 健人氏(POSTS代表)より「生成AIがもたらす社会変革とビジネス戦略」と題して、成功する生成AIプロダクトを作るための意義(サービスの価値)と意味(必要性)のデザインについてご講演いただきました。本講演では、急速に発展しつつある生成AIの様々な活用事例とともに、企業の製品・サービスに利用するための有効かつ実践的な手法について示唆に富むお話を伺うことができました。


特別講演1:山野 哲也氏
(総務省 情報流通行政局 参事官)

特別講演2:梶谷 健人氏
(POSTS代表)

 

(4)パネルディスカッションでは、「XR×生成AIの持つポテンシャルと未来社会の展望」をテーマに、まずパネリストの美野 秀弥氏(NHK放送技術研究所)からNHK技研で取り組まれているAIに関する研究例と今後の展開について紹介いただきました。またモデレータの安藤 広志氏(NICT/URCF企画推進委員長)から生成AI技術の進化と現状に関する解説とNICTにおけるXR×AIの取組みが紹介されました。そのあと、特別講演者の梶谷氏も交えて、①生成AIとXRの接点はどこにあるか、②生成AIの潜在的リスク(社会的/倫理的課題)にどう向き合うべきか、③生成AI×XRへの期待と未来社会の展望の各テーマに関して種々の事例紹介および活発な議論が展開されました。


パネルディスカッション「XR×生成AIの持つポテンシャルと未来社の展望」
パネリスト:梶谷 健人氏(左), 美野 秀弥氏(中央)、モデレータ:安藤 広志氏(右)

 

(5)日本科学未来館の展示会場においては、会員企業・大学等による先端的な超臨場感技術の体験デモ展示10件が行われました。XRコンテンツ・インタフェース技術、3Dアバター技術、VR知覚評価など多彩な取組みのデモ体験を通じて参加者・出展者間で議論を深めることができました。

デモ展示会場の様子

 

(6)最後に、茨木 久氏(NICT/URCF副会長)より閉会の挨拶を頂きました。


閉会挨拶:茨木 久氏
(NICT/URCF副会長)

 

(7)参加者の感想と今後の展開:参加者アンケートからは、今回のシンポジウムは「大変参考になった」(75.6%)「参考になった」(22.2%)と大変好評だったことが分かりました。また「印象に残った」セッションとしてとして、多くの参加者が生成AIをテーマとした梶谷氏の特別講演とパネルディスカッションを挙げていました。さらに「基調講演のコミュニケーション論的な議論にわくわくした」「生成AI×XRの事例を数多く紹介いただき勉強になった」「生成AIとヒトのクリエイティビティとの関係性について非常に参考になった」「デモがどれも大変興味深く、今後の研究活動の引き出しが増えた」等のコメントが寄せられました。また、今後URCFで扱ってほしいテーマとして「複雑に思える仮想空間の構築を生成AIや多くの技術を統合してどのように簡便に構築していけるか」「五感提示×生成AIや3D映像の融合」等の要望が寄せられました。URCFとしては、これらの要望も踏まえて今後の活動を一層充実させていきたいと考えています。

(URCF企画推進委員会)